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予知

A男は、突然小学校の高学年の頃から、千鶴子という名を聞くと、体の中をちょっとした電気が走るようなギョッとする感覚に襲われるようになった。それ以前に、千鶴子という名の人と何かあったという記憶は無い。
中学生の時、同級生の中に千鶴子という名を持つ人がいた時には、その人のことが気になって気になって仕方が無かった。好きとか嫌いとかという感情が起こる前に体が勝手に反応するような感じで、とにかく気になって仕方が無かった。気が付くと、目が勝手にその人を追いかけていた。
読んでいる本や雑誌の中に千鶴子という名があると、その千鶴子という部分だけ活字が飛び出てくるような感じがし、同時に腸が動くような不自然なものを体の中に感じた。
A男が30歳になった時に過去を振り返ると、これまでに4人の千鶴子と出会っていた。付き合ったわけではないが。中学校の同級生に1人、高校の同級生に1人、学生時代のバイト先にいた1人、社会人になってから出会った1人。どの千鶴子も、頭の中で軽くその名を呟いた瞬間に、まさに生きている彼女の静止画や動画がA男の脳を埋め尽くした。
今A男は50歳。不倫をしている。相手の名は、千鶴子。1年前に出会った。A男は、その千鶴子に切っても切れぬ異様な縁を感じている。好きという気持ちはないが、体が勝手に彼女を好いている。A男は、その千鶴子と比べたら妻との縁は薄いと感じている。A男は、死ぬまでの間に妻との関係は消えることがあるかもしれないが、その千鶴子との関係は間違いなく一生続き、自分の死を見取るのはその千鶴子である、そんな気がしている。
今A男は、はっきりと理解した。小学校の高学年の頃から、千鶴子という名に対して自分が特別な反応をしていた理由が。
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